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エピローグ
こうして、私のほんのちょっとした間違いから始まった出来事は、紆余曲折の末、彼との絆をより深めることで幕を閉じた。
まさに、結果オーライというところだろう。
しかし、ちょっと不可解だったのは、コスモスフィアへのダイブから戻ってからも、彼の目がなかなか覚めなかったことだ。
彼は顔を青ざめさせ、うなされながら何やら寝言を呟いていた。
『やめろ』
とか
『俺はお前の母さんを取ったりはしない』
とか
『あれは俺じゃなくてお前の母さんが自分で』
とか
『その刀をしまえ』
とか
『笑顔がかえって怖いぞ』
とかなんとか色々。
最後に大きな悲鳴を上げて、飛び起きた時の彼の顔は見ものだった。彼をからかうネタがまたひとつ増えた。
まぁ、それはさて置き、これで今度こそ何の憂いもなく故郷へ旅立てそうだ。
ニンゲンが嫌い、という気持ちは変わっていないけど、
彼と、クロアと一緒なら、どんな道でも歩いていける。
クロアと一緒なら、新しい道を歩いて行ける。
「さて、久しぶりにシュレリアの顔でも拝んでやろうかしらね」
私は、新しい1歩を踏み出した。
この世界は回り、全てが変わってゆく。
全てが儚く、全てに終わりが訪れる。
でも、
終わらない終わりだって、きっとある。
彼がくれた想いは、
私の中をずっと、ずっと、
温かくしてくれるのだから。
Fin